一泊入院。午前中に入院手続きをして、お昼ごはんは抜いて、午後に手術、一泊して翌日の夕方退院、というスケジュールだった。
当日の朝御飯は早めに軽めに食べた。入院の手引きに書かれていた物品をバッグに詰めて、病院に向かう。ケータイと充電器もいれた。
結局、持っていった荷物はほとんど使わなかった。持ち物リストは前開きのパジャマと書いてあったけれど、持ってなかったので、ギプスしても入るサイズの大きいトレーナー上下にしたけれど、前開きじゃないと着替えさせにくいということで、退院まで手術着で過ごした。ギプスだけでなく反対の腕には点滴が刺さっていて、途中で着替ること自体むずかしい。
入院中は、ほぼ点滴をして過ごした。頻繁にトイレにいきたくなるので大変。トイレに行く時は、点滴を吊るすコロコロ移動できる物体を押して行く。誰でもトイレみたいな、大きい部屋タイプのトイレを使った。
左腕に、点滴。腕を曲げてもいいけれど、曲げると液が入りにくくなると聞いたので、できるだけまっすぐにしていた。チューブを変にひっぱったら取れそうな気がして、おっかなびっくり。
手術前に看護師さんがベッドで右手や腕を泡で洗浄。シーネをはずしてするので、動かすと痛くて怖かった。爪切りもしてくれた。負傷した時から洗えてなくて(濡れタオルでふいたりはしたけれど)、汚い指で申し訳ない。
手術の時間になって、車イスで手術室まで移動。頭髪にはキャップ。手術台に横たわる。先生以外にも何人か人がいる様子だった。メガネを外してたのでよくわからない。
麻酔。注射をした後にビクンとしたら、した場所を教えるように言われて(厳密な言葉は違ったかも)何がビクンなのかがよくわからなくて、少し不安になった。まな板の上の鯉状態であとは全部おまかせ、と思っていたのに、自分の判断を求められるのは苦手。自分の判断がおかしかったら、麻酔が過剰になったり、不足するのかと思うと怖い。
その後に、電気信号みたいにピクッと魚が跳ねる、動くつもりはないけど動いちゃう、みたいな感覚があって、このことだとわかった。
気持ち的にはドキドキしてないのに、心拍がドキドキしていて、麻酔で死んじゃったらどうしよう、と思った。
痛さや冷たさ、触った感じがあるか確認されて、手術が始まったと思う。手術中は、痛くはないけれど、腕で何かをしている感じはわかった。プレートのサイズをどうするかなど、話す声が聞こえるので怖い。怖がりなのかも。
手術直後は麻酔で腕がぷらん、となっているので押さえないとあらぬ方向に行ってしまう。荷物みたいに抱えるように運ぶ。手術後も手術着のまま過ごしたのだけれど、痛みが出てからだと大変だから、と看護師さんが手術室で袖に腕を通してくれた。
病室に戻って、ベットに寝て、右腕を高くなるように吊るしてもらって過ごす。痛みをだんだん感じるようになって、夕食前の痛みが一番強かった。ケータイをいじろうと思えばいじれたけれど、痛みがあるので何もする気にならない。痛み止めの注射も打つかきかれたけれど、夕食後にロキソニンを飲めばなんとかなる気がしたので断った。実際、夕食後にロキソニンを飲んだら少しましになった。
夜ご飯。左手で箸で食べた。ベッドの上ではなくて、脇の小さなテーブルで食べた。金属スプーンが苦手なので、木のスプーンを持参したものの、荷物から出す気力が出なかった(最初にテーブルに出しとけばよかった)。患者さんのほとんどが高齢者だからか、量がとても少なかった。お総菜が串に刺さってて食べやすかった。
夜はほとんど眠れなくて、点滴をしているのでトイレが近くて、何度もトイレにいった。ウトウトしながら目が覚めた時は指をがんばってグーパーして過ごした。痛かったけれど耐えられない痛みではなかった。動かしても動かさなくても痛いなら動かしておこうと思った。
それよりも、大部屋で同室だったのは、介護施設に暮らしていて何かあって入院したおばあちゃん達で、カーテンで見えないけれど、認知症で幻覚を見ているらしく、夜中にいろいろつぶやく言葉が聞こえて、つらそうだった。おばあちゃん達のおむつ交換や姿勢替えなども夜間に何度かあって、生きるとは?医療とは?と深く考えさせられた。
入院時にそういう状況なことはきちんと説明があって、大部屋(差額なし)か個室か選べたのだけど、一泊なので大部屋にした。めったにできない体験だと思った。
朝食後に鎮痛剤を飲んで、薬が効いてくるまでは痛くてケータイをいじる気になれない。薬が効いてきたら心にゆとりができる感じ。すぐ帰れるかと思っていたけれど、まだまだ点滴があって、退院は夕方だった。体を拭く時間(清拭)もあったけれど、帰ってからお風呂に入ろうと思ったので適当に済ませた。
退院前に執刀した先生がガーゼ交換してくれて、指のグーパーと、手のひらを返す動作(手首の回転)も家で続けるように言われる。可動域が狭まらないために、できるだけ動かすこと。シーネは下側だけ添えて、包帯でぐるぐる巻かれる。
指が動くかグーパーを確認。しびれもないか聞かれて、しびれはなかった。
退院後、グーパーは怖くないのだけれど、手のひらを返す回転動作は壊れそうで怖くてなかなかできない。実際、動かないし、無理するとつっかえて痛い。